
営業として育つ場所が、いま静かに動いています。8月に公表された二つの調査を並べると、生成AIが最初に入り込んだのは資料作成の工程ではなく、これまで先輩に相談していた場面でした。GTMエンジニアを目指す人にとって、これは求人が増えるかどうかより手前の、学び方そのものが変わるという話です。
Pickup:今日の注目
① 営業が生成AIを最初に向けたのは、壁打ちの工程だった(PR TIMES/エムエム総研調べ)
従業員100名以上のBtoB企業に所属するインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの1,016人を対象にした調査で、生成AIを「よく活用している」「ある程度活用している」と答えた人の合計が約7割にのぼったと報じられています。用途の上位は壁打ち(アイデア出し)が38.3%、資料やメールの作成が36.8%、営業シナリオの策定が35.6%。そして今後強化したいこととして最も多く挙がったのは、顧客との会話から情報を引き出すスキルの38.7%でした。
営業を立ち上げる側なら:壁打ちが1位ということは、AIがまず座ったのは、これまで人が担っていた相談の席だったことになります。1人目営業が誰にも相談せず判断できてしまう状態は、速度としては歓迎でも、判断の質が誰にも見えないという別の問題を生みます。
GTMエンジニアを目指すなら:順番に注目してください。作業の代行より先に、考える相手としての利用が来ています。つまりAIは、あなたが最も学べるはずだった工程に入ってきました。先輩に相談していたころは、提案が筋悪なら顔色でわかりましたし、あとで結果も共有されたはず。AIとの壁打ちに、その二つは付いてきません。出てくるのは、いつも整った答え。そして現場が最優先で強化したいと答えたのが、AIには代われない「聞き出す」側の力だった点も見落とせません。
押さえておきたいのは、AIがまず埋めたのが相談相手の空席だった、という順番です。
出典:PR TIMES(2026年8月20日・本文は転載せず要約しています)
② 営業の求人は伸び、動く人の数は追いついていない(doda)
パーソルキャリアが公表した2026年7月の転職求人倍率は2.71倍で、前月から0.16ポイント上昇したと報じられています。求人数は前年同月比で17.2%増、これに対して転職希望者数の伸びは4.8%増。募集の増え方に、動く人の数が追いついていない構図です。
営業を立ち上げる側なら:この倍率のもとでは、募集を出して待つ形の採用は成立しにくくなります。採れないことを前提に、いまの2〜5名で回る型を先に作っておくほうが現実的です。
GTMエンジニアを目指すなら:求人が増えているという事実を、そのまま追い風と読むのは早いかもしれません。AIで作業が速くなっても募集が減っていないのは、企業がまだ人を必要としている証拠です。ただし何を任せたいかは動いています。求められているのは、AIに指示を出せる人であり、その指示の当たり外れを数字で確かめられる人。転職市場が売り手に寄っているいまは、募集の数より、その求人で自分が何を回せるようになるかを見比べる時期です。倍率が高い局面ほど、選べる側は条件で選びがち。数年後に効いてくるのは、任される範囲のほうです。
知っておきたいのは、求人の増加が職種の中身の安定を意味しない、ということです。
出典:doda(パーソルキャリア)(2026年8月20日・本文は転載せず要約しています)
二つを重ねると、この夏に起きた入れ替わりが見えてきます。営業の相談相手がAIに移り、それでも営業の募集は増え続けている。必要とされる人数はそのままに、育ち方だけが先に変わりました。
以前の経路はこうでした。悩む、先輩に持っていく、その場で筋の良し悪しが返ってくる、数週間後に結果も返ってくる。この往復の中で型が身につきます。いまは相手が入れ替わりました。AIは24時間つきあってくれて、答えもいつも整っている。ただ、その提案が自分の会社の顧客に効いたかどうかまでは戻ってきません。返ってこないもの、それがフィードバックです。
だとすれば、次に用意するものは決まってきます。判断の結果を返してくれる相手を、人から仕組みへ置き換えられるか。リストの切り方を変えたら返信率がどう動いたか、アプローチの順番を入れ替えたら商談化率がどうなったか。ここが自分の手で動かせる範囲にあると、仕組みそのものが週単位で答えを返しはじめます。AIとの壁打ちは、その手前の仮説を出す作業として、むしろ効いてきます。
GTMエンジニアは、営業戦略の設計から現場の実行、組織への仕組み化までを一本で貫く職種です。この職種の入口は、ツールの操作を覚えたところではなく、自分の仮説と結果がつながった最初の一回に置かれています。そこに何が含まれるのかは、GTMエンジニアリングとは何かで、営業代行との違いを含めて整理しました。次の職場を選ぶ前に読むと、求人票で確かめる項目が一つ増えるはずです。数字を見せてもらえるか、ではありません。数字を動かす側に立たせてもらえるか、です。
本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。
