
営業にAIを入れた企業では、作業時間が減ったと感じる人が多くなっています。ただ、事業の成果が上がったと実感しているのは1割台です。GTMエンジニアを目指す人が先に磨くべきなのは、AIの操作そのものより、対人の営業力とAIを組み合わせる力だと判断します。10月に公表された2つの調査から、その理由を整理します。
Pickup:今日の注目
① 営業のAI導入は作業時間を減らしたが、成果を実感したのは14.5%(ブリッジインターナショナルグループ)
2026年10月20日に公表された調査です。年商500億円以上の企業で、法人営業・営業企画・DX推進を担う課長クラス以上200名に、2026年7月に聞きました。AI導入で変わったことは「作業時間の削減」が53.0%で最多です。一方、事業成果が向上したと実感した人は14.5%でした。投資の優先順位では、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客管理システム)のデータ品質改善・統合が46.5%で最も多く選ばれています。
営業を立ち上げる側なら:AIを入れる前に、商談の記録と顧客情報の入力ルールを先に決めると、導入後の効果を測れるようになります。数字を取れないまま導入すると、作業が減ったのかどうかすら分からないからです。
GTMエンジニアを目指すなら:この数字は、面接で聞く材料にできます。「導入したAIの効果を、誰がどの数字で確かめていますか」。具体的な指標と担当者が返ってくる会社なら、仕組みを組んだあとの確かめ方まで考えている会社です。答えに詰まる会社なら、確かめ方を一から決める仕事について面接で聞けます。
作業が減ったことと、成果が出たことは別の数字として見る。
出典:ブリッジインターナショナルグループ(プレスリリース)(2026年10月20日・本文は転載せず要約しています)
② 対人営業力とAI活用を両方持つ営業は、成果を実感する割合が48.8%(ウィルソン・ラーニング)
2026年10月15日発表の「AI時代の営業力調査2026」です。全国の営業職1,057名が回答し、そのうち841名を分析しました。対人営業力とAI活用の両方が高い人は、成果の向上を実感した割合が48.8%。両方低い人は17.8%で、約2.7倍の差があります。調査は自己申告で、因果ではなく相関を示すものだと、調査元も明記しています。
営業を立ち上げる側なら:営業を採用するとき、AIの利用経験だけでなく、対人営業力とAI活用の両方を面接で確かめると、成果の差に近い人を選びやすくなります。どちらか片方だけを見ると、数字の差を取りこぼします。
GTMエンジニアを目指すなら:身につけたいのは、AIを操作する手順より先に、人が商談で担う部分と、AIに渡す部分を分けて考える力です。たとえば今の職場で、商談のあとにAIで要点を整理し、次回の確認事項を決めるところまでを1週間続けてみてください。AIに任せた作業と、人が相手から聞き出した事実を別々に書き出すと、転職のときに自分の実績として話せる形になります。操作の上手さは、この分け方が身についたあとに効いてきます。
操作の速さより、何を人に残し、何をAIに渡すかの判断。
出典:PR TIMES(ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社)(2026年10月15日・本文は転載せず要約しています)
2つの調査の数字は、対象も読み方も違います。並べるときの注意点を表にまとめました。
| 調査 | 発表日 | 対象 | 主な数字 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|---|
| ブリッジインターナショナルグループ | 2026/10/20 | 年商500億円以上の課長クラス以上200名 | 作業時間の削減53.0%/成果実感14.5% | 営業職本人ではなく管理職の回答 |
| ウィルソン・ラーニング | 2026/10/15 | 営業職841名(分析対象) | 両方高い48.8%/両方低い17.8% | 自己申告。相関のみで因果は示していない |
2つの調査が示したのは、AIで作業を減らすことと、成果を出すことは別の話だという点です。GTMエンジニアを目指す人は、AIに何を任せ、人が何を担うかを言葉にする練習から始めてください。強みを言葉にする順番は、キャリアの軸の見つけ方で整理しています。転職先を選ぶ基準から決めたい人には、そちらが先の一本です。本記事の数字を当てはめる仕事を、その基準から絞る順番。
本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。調査の数字は各社の発表時点のものです。
よくある質問
- GTMエンジニアに必要なスキルは何ですか?
- 営業の商談の流れを理解していることに加え、CRMや自動化ツールで営業の仕組みを組む力が挙げられます。作った仕組みが現場で使われているかを確かめる力も必要です。求人票の業務内容と応募条件を読むと、会社ごとに重きの置き方が違うことが分かります。
- 営業経験はGTMエンジニアへの転職で活きますか?
- 活きます。どの商談で止まりやすいか、どの見込み客が受注しやすいかを知っていることが、仕組みを組むときの判断材料になります。今の職場でAIに任せた作業とその結果を記録しておくと、面接で具体的に話せます。
- AIで営業の仕事はなくなりますか?
- 調査では、AI導入で作業時間が減ったと答えた人が多い一方、事業成果を実感した人は少数でした。作業が減ったあとに、その時間で何をするかを決める仕事が残ると読み取れます。



