
初任給の引き上げが続いています。企業が払う金額が上がるだけでなく、若手が「これくらいは欲しい」と考える水準も同時に切り上がっている――そんな現状が、直近の2つの調査から見えてきました。賃金が上がる時代に、転職を考える人と採用する企業はそれぞれ何を見ればよいのか。若手の賃金をめぐる現在地を読み解きます。
Pickup:今日の注目
① 2026年度の大卒初任給、平均26万円台半ばに(労務行政研究所)
労務行政研究所が東証プライム上場205社を対象に実施した調査で、2026年度の大卒初任給の平均額が26万5,708円になったと報じられています。全学歴で初任給を引き上げた企業は75.6%、大卒に限ると85.6%にのぼり、引き上げ時の平均上昇額は1万6,754円だったと発表されました。
転職を考えているなら:初任給の水準は着実に上がっています。ただし入口の金額は「スタート地点」にすぎません。数年後にどれだけ伸びるか、どんなスキルが身につくかまで含めて見ると、納得感のある選択につながります。
採用する企業なら:初任給の引き上げ競争が続くなか、金額だけで大手と張り合うのは中小・ベンチャーには重い負担です。「ここで何が得られるか」を具体的な言葉にできるかが、これまで以上に効いてきます。
知っておきたいのは、初任給はあくまで「入口の条件」であり、入社後に何を積み上げられるかという視点をあわせて見ることが、長い目で見た満足度を左右するということです。
出典:PR TIMES(労務行政研究所)(2026年4月30日・本文は転載せず要約しています)
② 学生が求める初任給も上昇、「30万円以上」志向が拡大(日本の人事部)
Deep Growth Partnersが就職活動中の学生に行った意識調査では、求める初任給の水準が前年から切り上がり、「30万円以上」を求める層が前年比6.8ポイント増えたと報じられています。旧帝大・早慶上智クラスでは、31.6%が「30万円以上」をエントリーの最低条件に挙げたとされています。
転職を考えているなら:周囲が求める水準が上がると、自分の基準もつられて動きがちです。相場観を持つことは大切ですが、それが「自分が本当に大事にしたい条件」かどうかは、いったん切り分けて考えたいところです。
採用する企業なら:高い初任給を提示しづらい場合でも、勝負どころは残ります。裁量・成長機会・働き方といった金額以外の魅力を、どれだけ具体的に示せるかが問われます。
なるほどと思えるのは、賃金への期待が上がるほど、企業も求職者も「お金で測れる部分」と「測れない部分」をどう両立させるかが問われるということです。
出典:日本の人事部(2026年5月13日・本文は転載せず要約/調査主体:Deep Growth Partners)
2つの調査が映すのは、「払う側も求める側も、初任給の水準が同時に上がっている」という現在地です。賃金が上がること自体は歓迎すべき変化ですが、数字に意識が集中するほど、入社後に何を積み上げられるか、自社で何を提供できるかという「数字にしにくい価値」を言葉にする力が、双方にとって大切になりそうです。
本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。



