
これまで企業がAIを使うときは、自社向けに一から作り込むのが前提でした。ここにきて、用途ごとに作り込まれた「出来合いのAIエージェント」を、アプリのように選んで導入するしくみが整い始めています。6月上旬に相次いだ動きを起点に、AIが「選んで任せる対象」になると、働く人と採用する企業にとって何が変わりうるのかを先読みします。
Pickup:注目の技術
① AIエージェントを「探して導入する」市場が広がる(Salesforce)
Salesforceは2026年6月8日、AIエージェントを探して自社の業務に組み込めるマーケットプレイス「AgentExchange」の新版を日本で提供開始したと発表しました。多数のパートナーが用途別に用意したAIエージェントやその部品を、評価したうえで導入できるしくみで、AIを使う企業が一からつくらなくても、必要な機能を選んで取り入れられる方向へ進んでいるとされています。
転職を考えているなら:これからの仕事は「自分一人で全部こなす」より、定型的な作業をAIエージェントに任せ、自分は段取りと判断を担う形に近づいていく可能性があります。求められる力は、ツールを操作する技能そのものより、「どの作業を誰(人かAIか)に任せ、どう束ねるか」を設計する力に移っていくと考えられます。
採用する企業なら:「この業務に1人採用する」の前に「この業務は既製のAIエージェントで賄えないか」を検討する選択肢が増えるかもしれません。採用要件は、作業をこなせる人より、AIを含むチームを設計・監督できる人へと比重が移っていく可能性があります。人手が限られる中小・ベンチャーほど、出来合いのエージェントで機能を補える余地が広がるとも言えます。
知っておきたいのは、AIが「選んで導入する対象」になるほど、価値を生むのは作業をこなす速さよりも、「何を任せ、何を自分で持つか」を見極める判断だという点です。
出典:Salesforce(公式プレスリリース)(2026年6月8日・本文は転載せず要約しています)
② 働き手の半数近くが「AIに指示し管理する役割」へ(BCG)
ボストン コンサルティング グループは2026年6月10日、世界14の国・地域の経営層から従業員まで約1万2000人を対象にした調査で、72%が「AIによって仕事に求められるスキルが変わった」と答え、47%が「AIに指示を出し、その仕事を管理する役割」へ移ったと回答したと発表しました。一方、4割超が週に1営業日以上の余力が生まれたとする半面、その時間の使い方について会社から指針を示されていないと答えた人が3分の2にのぼったとされています。
転職を考えているなら:AIに指示を出して管理する側に回る人が増えているという結果は、これから伸びる力のヒントになります。自分でこなす速さを磨くより、「AIに何をどう頼み、出てきた結果を見極めて直す」経験を積んでおくと、役割の変化に乗りやすくなると考えられます。日々の仕事でAIを一度任せてみて、その良し悪しを判断する習慣が土台になりそうです。
採用する企業なら:AIで生まれた余力をどう使うかの指針がないまま、という課題は多くの企業に共通します。効率化の先に「空いた時間で何に取り組んでほしいか」を言葉にして示せるかどうかが、定着や成長を左右する可能性があります。評価のものさしも、処理した作業量より「AIを活かして何を生んだか」を見る形へ見直す余地があると考えられます。
なるほどと思えるのは、AIで時間が空くこと自体は成果ではなく、その時間を何に振り向けるかを決めて初めて価値になる、という点です。
出典:PR TIMES(ボストン コンサルティング グループ)(2026年6月10日・本文は転載せず要約しています)
2つの動きに共通するのは、AIが「自分で使う道具」から「選んで任せ、束ねる対象」へと変わりつつあることです。出来合いのエージェントが増え、人の役割が指示・管理・設計へ移るほど、問われるのは作業の速さではなく、「何を任せ、何を自分で決めるか」を描く力になっていきそうです。技術が手に入りやすくなるいまだからこそ、効率化の先に何を目指すのかを言葉にしておくことが、働く個人にも組織にも次の一歩になりそうです。
本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。



