採用数は変わらない、動くのは中身だという現実
2026.07.075分で読める
#採用市場#AI×HR#キャリア

「AIで採用が激減する」という見出しは目を引きますが、実際の企業の声を聞くと様子は少し違うようです。直近発表された調査では、AI活用が進んでも新卒採用の人数自体は大きく変えないという企業が多数派である一方、育成や研修の中身は見直しに動き始めていることが分かりました。数が動かないところと、中身が動き始めているところ——その境目を、二つの最新調査から読み解きます。

Pickup:今日の注目

① 「採用数は変わらない」が7割、でも研修は3割超が見直しへ(リセモム/リクルートワークス研究所)

リクルートワークス研究所が2026年2月27日〜3月19日に従業員1,000人以上の大手企業186社を対象に実施した調査で、AI技術の進展が新卒採用数に与える影響について「変わらない」と回答した企業が68.8%にのぼったと報じられています。一方で34.6%の企業は、AIの進展を踏まえて「研修プログラムの内容を見直す」と回答しており、人事戦略にAIの観点を反映済みの企業はまだ6.5%にとどまるものの、35.5%が「検討を始めたばかり」と答えたとされています。

WeaveXの視点

転職を考えているなら:「AIで採用枠が減る」という不安が先立ちがちですが、少なくとも大手企業の直近データでは採用の『入口』自体はそう簡単には縮みません。むしろ変わりやすいのは入社後の研修内容です。選考の段階から「入社後どんな学び直しの機会があるか」を聞いておくと、AI時代の育成環境を見極める材料になりそうです。

採用する企業なら:採用数の議論に気を取られるより、研修内容の見直しに早く着手した企業から差がつく可能性があります。中小・ベンチャーは大企業ほど研修体系が固定化していない分、身軽にAI前提の育成カリキュラムへ切り替えられる余地があります。採用広報でも「育成をどう変えているか」を具体的に語れると、候補者への訴求力になりそうです。

知っておきたいのは、AIの影響は「採用の数」より先に「育成の中身」に表れやすい、という点です。

出典:リセモム(2026年7月3日・本文は転載せず要約しています)

② リスキリングへの期待は6〜8割、でも発信できている企業は4割止まり(リクルートマネジメントソリューションズ)

リクルートマネジメントソリューションズが2026年6月29日に発表した実態調査によると、経営層やマネジメント層が従業員の「リスキリング・学び直し」に期待している企業は6〜8割にのぼる一方、その期待を具体的なメッセージとして従業員に発信できている企業は4割前後にとどまることが分かったと報じられています。同社の別調査では、この1年で仕事に関する知識・スキルを学んだ個人は約9割にのぼるともされています。

WeaveXの視点

転職を考えているなら:「学び続ける人が9割」という数字は裏を返せば、学んでいること自体では差がつきにくくなっているということです。差がつくのは、何をどう学んだかを会社の言葉で語れるかどうか。面接では「学んだ内容」だけでなく「なぜそれを選んだか」まで話せるようにしておくと、期待とのズレが少ない受け答えになりそうです。

採用する企業なら:「期待しているが発信していない」という4割のギャップは、現場からすると「何を学べばいいか分からない」状態と同じです。特に人事担当者が少ない中小・ベンチャーでは、経営層の一言メッセージだけでも学習の方向性を示す効果は大きく、コストをかけずに着手できる打ち手といえます。業界によっては学び直しの内容そのものより「学ぶ理由の言語化」が定着率に直結する可能性もあります。

押さえておきたいのは、リスキリングは「制度があるか」より「期待が言葉になっているか」で差が出やすい、という点です。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ(2026年6月29日・本文は転載せず要約しています)


二つの調査に共通するのは、AIが押し寄せても「数」はそう簡単には動かず、実際に動いているのは「中身」だという構図です。採用人数は変わらなくても研修の中身は見直され、学び直しへの期待は高くても発信は追いついていない。変化は派手な数字の増減としてではなく、こうした地味な運用の差として先に表れているようです。こうした自分の学びや育成環境をどう見極めるかという視点は、キャリアの軸の見つけ方ともあわせて考えると、より実践に落とし込めます。AIの影響を「採用数が減るかどうか」だけで測るのではなく、育成やメッセージという見えにくい部分にも目を向けておく価値がありそうです。

本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。

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