AIの利用料が下がり続ける今、新規開拓で商談数を決めるものとは。
2026.10.126分で読める
#GTM戦略#営業×AI

1社の企業サイトと求人ページとプレスリリースをAIに読ませ、声をかける理由を1行にまとめる。この作業の費用は、9月から10月にかけて続いた値下げで、1社あたり十数円まで下がりました(試算・後述)。新規開拓の商談数を決めるのは、AIに調べさせる社数より、何を見つけたら声をかけるかの定義です。営業に関わる人が2〜5名のBtoB SaaSの新規開拓に引きつけて、2件の発表を読み解きます。

Pickup:注目の技術

① OpenAIとAnthropicが、主力AIモデルの利用料を相次いで下げた(InfoWorld)

InfoWorldは2026年9月23日、OpenAIとAnthropicが新モデルの公開にあわせて利用料を下げたと報じました。値下げ幅は、OpenAIの「GPT-6 Sol」「GPT-6 Luna」が前の世代から50%、Anthropicの「Claude Opus 5.5」が前のモデルから20%。Forresterのアナリストは、性能と価格の競争が長く続くとの見方を示しました。

WeaveXの視点

営業を立ち上げる側なら:営業3名の会社で、月曜の朝にAIが調べた500社分の要約が届く場面を考えてみてください。どの要約にも「業界で成長中」「DXに関心」と書かれていて、営業担当者は上から順に連絡するしかありません。午後には30社に電話をかけ、商談は1件も入らない。AIが調べた量は500社でも、営業担当者が1日に連絡できるのは数十社です。利用料が下がって増えるのは調べる社数で、連絡できる社数は人数で決まったまま。この差を埋めるのは、代表か営業責任者が、500社のうちどの30社から連絡するかの条件をAIが要約を書く前に決めることです。

GTMエンジニアを目指すなら:AIに企業を調べさせる設定で差がつくのは、読ませる情報源の数より、「この変化が見つかったら優先度を上げる」という条件の書き方です。

料金が下がると、AIに企業を調べさせる作業は誰でも始められます。どの変化を連絡のきっかけにするかを書いた会社とそうでない会社で、同じ500社から入る商談の数が変わります。

出典:InfoWorld(2026年9月23日・本文は転載せず要約しています)

② Reflection AIが、少ない計算量で動くオープンモデル「Beam」を発表した(TechCrunch)

TechCrunchは2026年10月5日、米国のReflection AIが重みを公開するオープンモデル「Beam」を発表したと報じました。総パラメータは5,010億、1回の処理で動かすのは230億で、100万トークンの長い文書を一度に読めます。同社の説明では、中国の主要なオープンモデルと同じ水準の推論性能を、3〜4分の1の計算量で出せるとのこと。重みと技術文書は10月中に公開される予定です。

WeaveXの視点

営業を立ち上げる側なら:安く動かせるオープンモデルが増えれば、営業支援ツールの各社が企業調査の機能を基本料金に含める動きが考えられます。そうなると、1社を調べる費用はツールの請求書からも見えなくなっていきます。費用で判断できなくなったとき、ツールを比べる基準になるのは、自社が決めた「声をかけるきっかけ」をどこまで正確に拾えるかです。拾ってほしいきっかけを先に書いておけば、ツールの試用期間中に、その条件で何社が見つかったかを数えて比べられます。

GTMエンジニアを目指すなら:100万トークンを一度に読めるモデルなら、1社の企業サイト・求人ページ・決算資料をまとめて読ませられます。問われるのは、読ませた情報から営業担当者が電話の一文目に使える事実を1つ選ばせる指示を、自分で書けるかどうか。

モデルが長い文書を読めるようになっても、その中のどの1行が商談につながるかは、売り手の会社が決めることです。

出典:TechCrunch(2026年10月5日・本文は転載せず要約しています)


調べる費用がどこまで下がったかを、仮の数字で計算してみます。1社につき、企業サイト・求人ページ・プレスリリースで3万トークンを読ませ、2,000トークンの要約を書かせるとします。料金を入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドル、1ドル150円と置くと、1社あたり約12円、1,000社でも約1.2万円です(いずれも当社の試算で、実際の費用はモデルと読ませる量で変わります)。営業担当者1人が1日に電話やメールで連絡できる社数のほうが、先に上限に達します。新規開拓の商談が増えない原因は、調べる費用より、連絡する順番の決め方にある可能性が高い。商談の入口で詰まっている会社ほど、この順番が受注までの数字をすべて左右します。

そこで、AIに調べさせる前に、声をかけるきっかけを1枚の表にします。材料は、自社が過去に受注した案件です。受注の1〜3か月前に、相手の会社で何が起きていたかを書き出します。

声をかけるきっかけ(相手の会社の変化) AIに見させる場所 連絡の一文目に書くこと
営業職の募集を始めた 求人ページ・求人媒体 募集している職種と、入社後すぐに必要になる業務
資金調達を発表した プレスリリース 発表された資金の使い道のうち、自社の製品が関わる項目
新しい製品や拠点を発表した プレスリリース・企業サイト 新しく立ち上がる部署や業務で起きやすい課題
自社の製品が解く課題を、相手が公開の場で話した 登壇資料・インタビュー記事 相手が話した課題と、その日付

表の1列目と2列目はそのままAIへの指示になり、3列目は営業担当者が連絡するときの台本になります。きっかけが見つかった会社から順に連絡し、見つからない会社は後回しにする。四半期ごとに、どのきっかけから商談が入り、どのきっかけから受注したかを数え、商談につながらなかった行を消します。誰に売り、何を合図に動くかは、GTM戦略は何から決めるかで営業1人目が入る前の順番として整理しました。AIの利用料はこの先も下がる見込みです。来期の新規商談の数を決めるのは、この表の行がどれだけ受注の実績に基づいているかです。

本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。

よくある質問

AIの値下げで、新規開拓の何が変わりますか?
企業サイトや求人ページ、プレスリリースをAIに読ませて1社ずつ調べる作業の費用が、ほぼ気にしなくてよい水準まで下がります。調べる社数を増やすこと自体は簡単になります。そのぶん、調べた結果のどれを連絡のきっかけにするかを決めておかないと、商談数は増えません。
新規開拓で声をかけるきっかけには、どんなものがありますか?
営業職の募集を始めた、資金調達を発表した、新しい製品や拠点を発表した、といった相手の会社の変化です。どの変化を選ぶかは、自社の製品がどんな課題を解くかで決まります。自社の受注案件を振り返り、受注の前に相手の会社で何が起きていたかを書き出すと、候補が見つかります。
営業が2〜5名の会社でも、AIで企業を調べる仕組みは必要ですか?
人数が少ない会社ほど、1人が連絡できる社数に限りがあるため、連絡する順番の精度が商談数を左右します。高価なツールを入れる前に、声をかけるきっかけの定義を1枚の表にまとめるところから始められます。

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