商談を増やすには、営業の採用と営業代行のどちらが費用対効果が高いのか

営業の採用と営業代行のどちらが費用対効果が高いかは、誰に何を言えば商談になるかが社内で決まっているかで変わります。決まっていれば、商談1件あたりの費用という同じ物差しで比べられる。決まっていなければ、採用した担当者も代行会社の担当者も、商談になる相手と言い方を一から探すところから始めることになり、どちらを選んでも商談の数はすぐには増えません。この記事では、1年目の費用を出典つきで並べたうえで、総額で比べられない理由、状況別の選び方、比べる前に確かめる3つの問いを書きます。営業代行会社の選び方と、契約が終わったあとの引き継ぎは扱わない。
1年目の費用を並べると、差は約150万円
営業担当者を1人採用する場合と、営業代行に1年任せる場合の1年目の費用を、公開されている数字で並べます。
| 採用(IT/通信の営業担当者1人) | 営業代行(月額固定で1年) | |
|---|---|---|
| 毎月かかるもの | 年収461万円(月あたり約38万円) | 月額の中央値27万円 |
| 始めるときにかかるもの | 採用費 約31万円 | 初期費用の中央値16.25万円 |
| 1年目の合計 | 約492万円 | 約340万円 |
🟨当社試算。採用の年収は「営業ーIT/通信」の平均年収。採用費は、1社あたりの中途採用費用の総額(平均650.6万円)を1社あたりの中途採用人数(平均20.8人)で割った値で、調査が1人あたりの費用として出した数字ではありません。社会保険料などの会社負担、パソコンや営業ツールの費用は含めていない。営業代行は、料金を公開している会社の中央値です。
採用の年収は、パーソルキャリアのdoda「平均年収ランキング」2025年版(2024年9月〜2025年8月にdodaへ登録した正社員の20〜65歳・約60万人)で、「営業ーIT/通信」が461万円、営業系全体では476万円でした。
出典:doda「平均年収ランキング(職種・職業別)」(2025年12月1日更新・本文は転載せず要約しています)
採用費は、マイナビ「中途採用状況調査2025年版」(2024年12月16〜19日実施・従業員3名以上の企業で中途採用と採用費用の管理を担当する人事担当者1,500名)で、2024年の中途採用費用の総額が1社平均650.6万円、中途採用人数が1社平均20.8人でした。採用人数には営業以外の職種も含まれます。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」(2025年3月26日・本文は転載せず要約しています)
営業代行は、BOXILが主要34サービスの公式サイトの料金を調べた記事で、料金を公開していたのは9社でした。月額固定プランのある7社の月額の中央値が27万円、初期費用のある6社の中央値が16.25万円、成果報酬を公開していた4社の中心は1件1.5万〜2万円です。残る25社は料金を公開していません。公開価格だけの集計で、業界全体の相場とは一致しないと記事自体が断っています。
出典:BOXIL Magazine「営業代行の費用相場は月額27万円 主要34サービス調査」(本文は転載せず要約しています)
固定報酬型で営業担当者を1人まるごと任せる契約は、月50万〜60万円が相場とされます。この場合、1年目の合計は採用とほぼ同じ水準になる。費用相場の幅は、営業代行と営業コンサルティングの比較で整理しています。
総額では比べられない。2つは同じ量の仕事を買っていない
表の約150万円の差を見て、営業代行のほうが安いと判断するのは早い。採用と営業代行では、1年で買っている仕事の量と中身が違うからです。
採用した担当者は、月に約160時間、その会社の営業だけをします。架電もメールも商談も、提案書の手直しも、社内での引き継ぎも含まれる。一方、月額27万円の営業代行が何を何件するかは、サービスごとに違います。架電の件数で決まる契約もあれば、アポイントの獲得までで終わる契約もある。商談に出るかどうか、提案書を書くかどうかも、契約書を読まないと分かりません。
総額は、買う仕事の量をそろえてから比べないと意味がない。そして仕事の量をそろえても、もう1つ比べられない理由があります。どちらも、成果が商談の数で測れる状態になっていないと、払った額に対して何が返ってきたかが分からない点です。
費用対効果の分母は「商談の数」。数えるには売り方が要る
費用対効果を比べる物差しは、**月の費用を月の商談数で割った「商談1件あたりの費用」**です。採用でも営業代行でも同じ式で計算できます。
たとえば、月の費用が38万円の担当者が月に8件の商談をつくれば、商談1件あたり約4.8万円。月27万円の営業代行が月に4件なら、1件あたり約6.8万円です(🟨当社試算・数字は計算の例)。この比べ方なら、総額の差に惑わされずに、商談を1件つくるのにいくらかかっているかで判断できます。
ただし、この式には前提が2つあります。1つは、何をもって商談と数えるかが社内で1つに決まっていること。営業代行の報告書にある「アポ18件」のうち、自社が商談と認める条件を満たすのが何件かを数えられなければ、分母が定まりません。もう1つは、商談になる相手の条件と、最初に伝える内容が決まっていること。これが決まっていないと、採用した担当者も代行会社の担当者も、当てる相手と言い方を毎月変えながら探すことになり、月ごとの商談数は売り方を探した結果であって、その人やその会社の実力を表しません。
採用の場面でも、同じことが起きています。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」(2025年12月17〜22日実施・従業員3名以上の企業の中途採用担当者1,500名)では、募集当初に求めたスキルや経験を満たさない応募者について「採用しないことが多かった」と答えた企業が**62.1%**で、前年から7.7ポイント増えた。企業規模が小さいほど、この割合は高い。求めるスキルや経験を書くには、その担当者に誰へ何を売ってもらうかが決まっている必要がある。売り方が決まっていない会社は、求人票の要件を書く段階で手が止まります。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(2026年3月27日・本文は転載せず要約しています)
売り方が決まっているかで、向く選択が変わる
| 自社の状況 | 向く選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 誰に何を言えば商談になるかが決まっていて、接触の量だけが足りない | 営業代行 | 採用より早く始められ、商談1件あたりの費用が合わなければ契約を見直せる |
| 売り方が決まっていて、同じ顧客と長く取引を続ける商材を扱う | 採用 | 顧客との関係と、提案の積み重ねが社内の担当者に集まる |
| 売り方がまだ決まっていない | どちらを選ぶ前に、売り方を言葉にする | 採用しても営業代行に任せても、商談になる相手と言い方を探す作業から始まり、商談1件あたりの費用を測れない |
3つ目の会社がやることは、売り方の仮説を立てて当て、結果を記録することです。社長か事業責任者が自分で数十社に当ててもいいし、期間を区切って営業代行に当ててもらってもいい。どちらの場合も、商談になった相手と断られた相手の業種・規模・役職、最初に伝えた内容、断られた理由を、自社のCRMかスプレッドシートに1件ずつ入れます。スプレッドシートで十分です。数十件の記録がそろえば、商談になりやすい相手の条件と言い方が見えてきて、そこから採用か営業代行かを費用で比べられるようになる。
比べる前に確かめる3つの問い
採用か営業代行かを決める前に、商談になる相手の条件・最初に伝える内容・商談の数え方を、社内で言葉にできるかを確かめる。
- 商談になった相手の条件を、業種・規模・役職で書けるか。「中小企業の経営者」では足りません。「従業員50〜200名のIT企業で、営業責任者がいない会社の社長」のように、リストを作れる粒度で書けるかを見ます
- 最初の1分で何を伝えるかが、文章になっているか。話す人によって変わる状態なら、採用した担当者にも代行会社にも同じ内容を渡せません
- 何をもって商談と数えるかが、社内で1つに決まっているか。代行会社に渡す基準の決め方は、インサイドセールス代行の相場とSQLの定義で書いています
3つとも答えられるなら、採用と営業代行の見積もりを取り、商談1件あたりの費用で比べれば判断できます。1つでも答えられない会社は、比べる前にその答えをつくる。
営業担当者を採るか外に任せるかの判断が問題になるのは、売上の入口にあたる商談の数が増えない場面です。売り方が決まっていない会社では、採用した担当者も代行会社の担当者も、商談になる相手と言い方を探すところから始めるため、月額を払い続けても商談の数は増えず、新しい人に替えるたびに探す作業がやり直しになります。
GTMエンジニアリングとは、営業戦略を起点に、売上を生み出し続けるGTM(Go-to-Market)の仕組みを設計・実装・定着させることです。採用か営業代行かの判断に当てはめると、商談になる相手の条件と最初に伝える内容、商談の数え方を言葉にするだけで終わらせず、当てた結果を1件ずつ記録して売り方を書き直す運用を現場に組み込み、誰が担当しても同じ相手に同じ内容で商談をつくれる状態までつくることを指します。仕組みの全体像はGTMエンジニアリングとはで、どこから始めるかはGTM戦略で整理しています。支援の範囲はGTMエンジニアリングのページにまとめた。
採用の求人票を書く前に、営業代行の見積もりを取る前に、3つの問いへの答えを紙に書き出してみてください。書けなかった問いが、最初に取りかかる作業です。
本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。
よくある質問
- 営業担当者を1人採用すると、1年目にいくらかかりますか?
- 年収と採用費が中心です。dodaの2025年版では「営業ーIT/通信」の平均年収が461万円、マイナビの調査では中途採用費用の総額が1社平均650.6万円・採用人数が平均20.8人でした。後者を単純に割ると1人あたり約31万円になり、合わせて約490万円が目安です(当社試算・社会保険料などの会社負担は含みません)。
- 営業代行の費用対効果はどう測ればいいですか?
- 月の費用を、その月に生まれた商談の数で割った「商談1件あたりの費用」で測ります。コール数やアポ数ではなく、自社が商談と認める基準を満たした件数で割ることが前提です。この基準を契約前に代行会社と1つに決めておくと、採用した場合とも同じ物差しで比べられます。
- 営業の採用と営業代行は、どちらから始めるべきですか?
- 誰に何を言えば商談になるかが決まっていて、接触の量だけが足りないなら営業代行が速い手段です。売り方が決まっていて、同じ顧客と長く取引を続ける商材なら採用が向きます。売り方がまだ決まっていない段階では、どちらを選ぶ前に、商談になった相手の条件と伝えた内容を記録し、売り方を言葉にする作業が先になります。



