「AIを使えます」は、どの段階のことを指すのか
2026.08.196分で読める
#キャリア#AI×HR#第二新卒

「AIは使えますか」と聞かれて、はいと答えられる人は、この1年でずいぶん増えました。ところが今月に入って公表された2本の調査を読むと、同じ「はい」と答えた人でも、AIをどこまで使っているかによって、感じている変化がまったく違うことが分かります。片方は、キャリアの選択肢が広がったという実感の差。もう片方は、自分の専門性が削られていくという実感です。今日はこの2本を、「使っているかどうか」ではなく「どの段階で使っているか」という補助線で読み解きます。

Pickup:今日の注目

① 「選択肢が広がった」の回答率が、活用度で10倍以上に割れた(PR TIMES/オシジョブ調べ)

全国の20〜59歳の会社員291名への調査で、AIを高い水準で使っている層の73.9%が「キャリアの選択肢が広がった」と答えた一方、使っていない層では6.8%にとどまったと報告されています。業務でAIを使っていない人は50.9%、仕組みの構築・展開まで踏み込んだ「使いこなし層」は23.7%。職種別では、高活用層の割合がIT・エンジニア職45.2%、事務・管理職22.0%、製造・生産職7.4%と差がありました。

WeaveXの視点

転職を考えているなら:職務経歴書に「生成AIを業務で活用」と書ける人は、もう珍しくありません。差がつくのは、AIを使った結果として自分の仕事の何が変わったかです。自分の作業が速くなっただけなのか、手順そのものを作り替えたのか、他の人も使える形にして渡したのか。仕組みの構築・展開まで踏み込んだ人は4分の1です。逆に言えば、残りの4分の3はまだそこまで手をつけていないので、今から始めても遅くありません。

採用する企業なら:候補者の「AI活用経験あり」を額面どおり受け取ると、実像を取り違えます。聞くことは1つ。誰のどの作業を、どう置き換えたのか。1件だけ具体的に語ってもらえば、短時間で見分けがつきます。職種によって触れる機会そのものに差がありますので、経験が薄い候補者を意欲の問題と読むのは早計です。

10倍以上の開きには、本人の能力の差に加えて、AIを仕組みづくりまで使える職種や職場にいたかどうかの差が含まれています。

出典:PR TIMES(オシジョブ株式会社)(2026年8月4日・本文は転載せず要約しています)

② 週1日以上AIを使う人の半数超が、自分の専門性の侵食を感じている(HRプロ)

ビズリーチが、年収800万円以上かつ業務で生成AIを週1日以上使うビジネスパーソン1,007人に行った調査(2026年6月18〜22日実施)では、56.8%が自身の専門性がAIによって代替・侵食されていると感じていると報告されています。79.2%がキャリアプランを見直した、または見直す必要を感じており、44.7%は転職やキャリアについて生成AIに相談した経験があると回答。年収1,500万円以上の層で最も多かった今後の戦略は「人間性特化型」でした。

WeaveXの視点

転職を考えているなら:侵食を感じているのは、週1日以上AIを使っている人たちです。使い込むほど、自分のスキルのうちどれがAIで代わりがきくようになったのかが見えてきます。ただし、この調査の対象は年収800万円以上の層。そのまま自分に重ねられる数字ではありません。それでも、経験を長く積んだ人ほど侵食を感じているという構図を見ると、経験年数が短いことの意味も変わります。AIに侵食される専門性をまだ多く抱えていない分、新しい使い方に切り替えやすい場面が出てくるからです。

採用する企業なら:この層は、いま自分の専門性の値段を測り直している最中です。求人票に業務内容を並べただけでは、その問いに何も答えていません。入社後にどのAI環境を使えて、どこまで裁量があるのか。候補者が求人を見比べるとき、選ばれるのはそこまで書いている会社です。

AIに代わられる専門性と、代わられない専門性の顔ぶれが、いま入れ替わりつつあります。

出典:HRプロ(2026年8月4日・本文は転載せず要約しています)


2本を重ねて読むとわかるのは、「AIを使っていますか」と聞いても、その人の実力はもう見えないということです。使っていない人が半数いる一方で、使っている人の中には、選択肢が広がったと感じる人と、専門性が削られていると感じる人が同居している。同じ「使っている」人の中に、正反対の実感を持つ人がいるわけです。WeaveXの見立てでは、この二つを分けているのは使い方の段階です。作業を速く終わらせるためだけにAIを使っていると、「専門性が削られた」という感覚だけが残ります。ところが、誰かの手順を作り替え、他の人が使える形にして渡す段階まで来ると、AIに任せた作業の代わりに、手順を設計して人に渡すという新しい仕事が自分の担当になります。二つの実感を分けているのは、この新しい仕事を自分が引き受けているかどうかです。そして、この差は面接で語れる中身にそのまま出ます。「毎日使っています」は前者の言い方。「この作業を、こういう理由でこの形にしました」は後者の言い方です。ちなみに、44.7%がキャリアの相談をAIにしていたという数字も、同じ補助線で読めます。答えをもらう使い方か、自分の考えを外に出して整理する使い方か。この二つの違いはAIにキャリア相談で具体的に扱っていますので、実際に打ち込む前に一度のぞいておくと、AIへの聞き方が変わり、返ってくる答えも変わります。使える人が増えたいま、問われているのは「使えるか」ではなく「どこまで使っているか」です。

本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。調査数値は各調査の回答者の認識に基づくものであり、調査規模・対象はそれぞれ異なります。

あなたの物語は、まだ続いていく。

WeaveXは「自ら物語を紡ぐ」人の挑戦を支えます。

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