営業代行のデメリットとは。契約が終わっても自社で売り続けるための準備
2026.10.099分で読める
#GTM戦略#パイプライン

営業代行の最大のデメリットは、契約が終わった日に分かります。誰に電話し、何を話し、どんな理由で断られたか。その記録が代行会社の手元にあり、自社では翌月から営業を続けられない。この記事では、営業代行のデメリットを5つに分けて表面化する時期を示し、契約前と契約中に何を決めておけば、契約が終わっても自社で売り続けられるかを書きます。費用相場や、営業代行・営業コンサルティングとの選び分けは扱いません。

営業代行のデメリットは5つ。表面化する時期が違う

よく挙がる5つを、表面化する時期で並べた表。

デメリット 中身 表面化する時期
費用に対して成果が見えにくい 報告されるのはコール数やアポ数で、受注までの因果が自社から見えない 契約中
話し方を管理しにくい 代行会社の担当者が何を言っているかを、自社が毎回は確かめられない 契約中
顧客情報を外部に渡す 見込み客のリストや商談の記録を、代行会社が扱う 契約中
売り方のノウハウが自社にたまらない 誰に当てると反応があり、どの言い方で断られたかを知っているのが代行会社の担当者だけになる 契約終了時
やめると営業活動が止まる 自社に営業担当者も手順書もないため、解約した翌月から商談が作れない 契約終了時

前の3つは、契約中に気づけます。報告書の中身が薄いと感じた月や、顧客から「御社の担当の方が」と問い合わせが来た日に、手を打つきっかけがある。

後の2つは、契約が終わるまで気づきにくい。代行会社がアポを取り続けている間は、自社に何もたまっていなくても困らないからです。困るのは解約を決めた日、あるいは代行会社の担当者が交代した日です。

使ったことがある会社の約半数は、いま使っていない

ウィルオブ・ワークが2025年7月4日に発表した調査(2025年6月6〜10日実施・営業職として働く20〜59歳の男女521名)では、勤務先が営業代行サービスを「現在も利用している」と答えた人が8.1%、「過去に利用したことがある」が8.3%。合わせて16.4%。使ったことがある会社の約半数は、すでに使うのをやめた計算になる。

同じ調査で、営業リソースが「かなり足りていない」「やや足りていない」と答えた人は合わせて**65.3%**でした。

出典:ウィルオブ・ワーク「営業代行サービスに関するアンケート調査」(2025年7月4日・本文は転載せず要約しています)

この調査は、やめた理由を聞いていません。成果が出なかったのか、社内で採用できたのか、予算が尽きたのかは分からない。分かるのは、営業代行を使う会社の多くが、いずれ代行なしで営業を続ける日を迎えるということです。その日に自社の手元に何があるかは、やめた理由にかかわらず、どの会社にも起きる問いになります。

契約が終わった翌月に起きること

営業代行に新規開拓を半年任せた会社で、契約を終えた翌月を考えます。

代表が、新しく採用した営業担当者に「これまでの続きをやってほしい」と頼む場面です。担当者は最初に、どの会社に連絡済みかを確認しようとする。ところが、架電の履歴は代行会社のツールの中にあり、自社が受け取っているのは月次の報告書だけです。報告書には「コール数1,200件・アポ18件」と書いてあっても、どの会社に何を話して、なぜ断られたかは書いていません。

担当者は、半年前に代行会社が電話した会社へもう一度電話をかけます。相手からは「先月も別の方から電話がありましたよ」と言われる。トークスクリプトも、代行会社が3か月目に書き直した版を自社は持っていません。新しい担当者は、代行会社が半年かけて外した言い方を、最初からもう一度試すことになります。

代行会社の落ち度とは言えない。契約書に「記録を渡す」と書いていなければ、記録は代行会社の業務の道具として、代行会社のツールの中に置かれたままになります。

契約前に決める、自社に渡してもらう4つのもの

契約が終わっても自社で営業を続けるには、契約前に次の4つを「何を・どの形式で・いつ渡すか」まで決めておきます。

渡してもらうもの 中身 決め方
見込み客ごとの記録 連絡した日・話した相手・聞けた課題・次の連絡予定 代行会社のツールではなく、自社のCRMかスプレッドシートに直接入れてもらう
トークスクリプトの改訂版 最初の版と、書き直した版すべて。書き直した理由も添える 改訂のたびに自社へ送ってもらう
断られた理由 「時期が合わない」「予算がない」「担当が違う」などの分類と件数 分類を自社と一緒に決め、月次の報告書に入れてもらう
当てた相手の条件 業種・規模・役職など、どの条件の会社に当て、どの条件の会社で反応がよかったか リストを作った条件と、外した条件を書面で受け取る

4つのうち、契約が終わった翌月の営業をいちばん左右するのは1つ目です。契約が終わってから記録を書き出してもらうと、担当者が覚えていない会社や、ツールの中で消えた履歴が抜け落ちます。最初から自社のCRMかスプレッドシートに入れてもらえば、連絡した会社の一覧が契約の初日から自社にあります。CRMを入れていない会社なら、スプレッドシートで十分です。列を足し引きしやすく、代行会社の担当者もすぐに入力を始められます。

顧客情報を渡す以上、契約書には個人データの扱いも書きます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データの取扱いを外部に委託する会社に、委託先を選ぶこと・契約を結ぶこと・委託先での扱いを把握することの3つを求める。契約が終わったあとに代行会社が見込み客のリストをどう返すか、消すかも、このとき一緒に決めておきます。

出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-4-4 委託先の監督(2026年6月14日一部改正版・本文は転載せず要約しています)

契約中は、週1回30分だけ自社で読む

4つのものを受け取っても、誰も開かなければ契約が終わった日に使えません。受け取った記録を、社内の誰かが自社の手順書に書き写す時間を、契約中から毎週取ります。

道具も資料も、渡しただけでは使われない。HubSpot Japanが2026年2月27日に公表した調査(2025年10月30〜31日実施・従業員51〜5,000名の企業の営業担当者など売り手1,545名)で、AIを週1回以上使う人の割合を会社の支援の度合い別に見た結果は次のとおりです。支援なしは35.6%、利用の許可だけなら47.2%、研修ありで56.9%。業務プロセスへ組み込んだ会社では**74.8%**まで上がります。これはAIの利用についての数字。代行会社から受け取る記録や手順書も、扱いは変わりません。受け取った資料を読むかどうかは、それを読む時間が自社の毎週の手順に入っているかで決まります。

出典:HubSpot Japan「日本の営業に関する意識・実態調査2026」(2026年2月27日・本文は転載せず要約しています)

週1回、代表か営業責任者が30分で読むのは次の3つです。

  1. その週に断られた理由の上位3つ。先週と変わったかを見る
  2. トークスクリプトが書き直された箇所。なぜ書き直したかを代行会社の担当者に聞く
  3. 反応がよかった相手の条件。自社の「誰に当てるか」の条件に足すかを決める

読んだ内容は、自社の手順書に書き写します。代行会社の報告書のまま保存しても、半年後に新しい担当者が読むのは難しい。自社の言葉で書いた手順書なら、契約が終わった翌月に入った担当者でも、初日から読めます。

すべてを手順書にできるわけではありません。代行会社のベテランが電話口で相手の声色から判断していることは、書き写しても再現しにくい。全部を移そうとせず、誰に当てるか・何を言うか・どの理由で断られたかの3つが自社の手順書にあれば、契約が終わった翌月も、新しい担当者は同じ相手に同じ順番で営業を続けられます。


営業代行のデメリットは、売上の転換率と、打った手の定着の2か所を詰まらせます。代行会社の担当者の頭にだけ売り方がある状態では、新しく入った人が受注につながる話し方を一から探し直すことになり、半年分の外注費で決まった売り方も、契約と一緒に自社から離れるからです。代行会社を替えても、社内で営業担当者を採用しても、記録と手順書が自社になければ、この詰まりは戻りません。

GTMエンジニアリングとは、営業戦略を起点に、売上を生み出し続けるGTM(Go-to-Market)の仕組みを設計・実装・定着させることです。営業代行の使い方に当てはめると、代行会社から記録を受け取る形式を決めるだけで終わらせず、見込み客の記録が最初から自社のCRMかスプレッドシートに入る運用と、断られた理由を毎週読んで手順書を書き直す運用を現場に組み込み、契約が終わった翌月に入った担当者が同じ手順で営業を続けられる状態までつくることを指します。営業代行・営業コンサルティング・GTMエンジニアリングをどの状況で選び分けるかは、営業代行とコンサルの比較で費用相場と一緒に整理しています。

営業代行を選ぶ前に、契約が終わる日に自社の手元に置いておきたい記録を、紙に書き出してみてください。その一覧が、そのまま契約書に入れる項目になります。

本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。

よくある質問

営業代行のデメリットは何ですか?
費用に対して成果が見えにくいこと、代行会社の担当者の話し方を自社で管理しにくいこと、顧客情報を外部に渡すこと、売り方のノウハウが自社にたまらないこと、契約をやめると営業活動が止まることの5つです。前の3つは契約中に、後の2つは契約が終わった日に表面化します。
営業代行を使ってもノウハウを社内にためるにはどうすればいいですか?
契約前に、見込み客ごとの記録・トークスクリプトの改訂版・断られた理由・当てた相手の条件を自社に渡してもらうことを決めておきます。見込み客の記録は代行会社のツールではなく、自社のCRMかスプレッドシートに入れてもらいます。そのうえで、受け取った記録を社内の誰かが毎週読み、自社の手順書に書き写します。
営業代行はやめたほうがいいですか?
売り方が決まっていて、接触の量だけが足りない会社には営業代行が最も速い手段です。避けたほうがいいのは、誰に何を言えば売れるかがまだ決まっていない段階で、決める作業ごと任せてしまう使い方です。その場合、契約が終わると、決まったはずの売り方も代行会社の担当者と一緒に自社から離れます。

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