商談を作り続ける営業リストの作り方|「リストが尽きた」と感じたときの見直し方
2026.09.258分で読める
#GTM戦略#パイプライン

商談を作り続ける営業リストは、社数を集める前に「載せる条件」「当てる理由」「接触結果の残し方」の3つを決めて作ります。新規開拓で「リストが尽きた」と感じたとき、実際に尽きているのは会社の数ではありません。尽きているのは、条件の幅と、一度当たった会社へもう一度当てる理由のほうです。この記事では、営業リストの作り方を手順に分け、尽きたと感じたときにどこから見直すかまで書きます。

営業リストとは何か

営業リストとは、アプローチする会社と、その会社に当てる理由を並べた表です。会社名と連絡先だけの表は、名簿であってリストではない。名簿は上から消化すれば終わりますが、リストは当てた結果が戻ってくるたびに書き換わります。

最低限、次の5つの列があれば回ります。

列 中身 ないと起きること
判定条件 会う前の外形情報で、載せる理由を1行 誰が作っても同じリストにならない
当てる理由 いま連絡する根拠(採用募集・新しい発表・拠点開設など) 文面が毎回同じになり、2周目で反応が消える
前回の接触 いつ・誰に・何を送ったか 同じ相手に同じ内容を重ねて送る
結果の区分 対象外/今ではない/反応あり 断られた会社がすべて「使用済み」になる
次に当てる日 当て直す時期と、そのきっかけ 2周目の候補がどこにも残らない

道具はスプレッドシートで十分。立ち上げ期は列を足し引きする回数が多いので、むしろそのほうが扱いやすい場面もある。道具よりも、この5列がそろっているかどうかで、リストが尽きる速さが変わります。

新規開拓の現場では、何が足りていないのか

公開されている調査を3本並べると、新規開拓の状況が見えてきます。

経道が2025年5月29日に公開した中小企業経営者・経営幹部への調査(有効回答102件)では、経営課題の1位が**販売・受注先の開拓(65.8%)**でした。母数が小さいので傾向の参考にとどめますが、2位の人材の確保・育成(60.3%)を上回っています。

出典:経道(2025年5月29日・本文は転載せず要約しています)

Sansanが2025年8月28日に発表した調査(従業員299名以下の企業の経営層・営業担当者733名)では、営業の人手不足を感じている人が52.8%。人手不足を感じている経営層の80.1%が売上の停滞・伸び悩みを感じており、対応策の最多は「営業人員の採用強化」(58.7%)でした。

出典:Sansan(PR TIMES)(2025年8月28日・本文は転載せず要約しています)

ラクスとSansanが2025年12月2日に公開した調査(従業員300名以下のBtoB中小企業の営業管理職300名)では、新規開拓の手法として「既存顧客や知人からの紹介」を実施している会社が60.7%。最も商談につながった手法も紹介が**52.0%**で、ほかの手法はいずれも12%以下でした。

出典:メルラボ(ラクス)(2025年12月2日・本文は転載せず要約しています)

3本とも調査の対象と規模が違うので、数字を足し合わせることはできません。ただ、同じ方向を指しています。新規開拓は多くの会社で最大の関心事で、商談の多くは紹介から生まれていて、足りないと感じたときの打ち手はまず人を増やすこと。

紹介で商談が回っている会社は、それで構いません。困るのは、紹介が細ったあとです。自分から当てにいくリストを作ったことがないまま人を増やすと、新しく入った人は同じ名簿を上から消化します。人が増えた分だけ、名簿は早く尽きる。

「リストが尽きた」とき、実際に尽きているもの

営業を立ち上げた会社でよく起きるのが、1本のリストを2周当てたところで、次に当てる先がなくなる場面です。このとき足りないのは会社の数ではありません。尽きているのは、たいてい次の3つです。

1つ目は、条件の幅です。 「従業員50〜300名のIT企業」のような条件は、会う前に判定できるので出発点としては正しい。ただ、この1行だけだと、該当する会社が全部同じ重みで並びます。重みがないので上から順に当て、反応の良し悪しがどの条件から来たのか分からないまま1周が終わります。

2つ目は、当てる理由です。 1周目と同じ文面を2周目に送っても、反応はほぼ返ってきません。相手の状況が変わっていないからです。採用募集を出した、新しい発表をした、拠点を開いた。こうした「いま連絡する根拠」を列として持っていないと、2周目に送る文面が作れず、リストは使い切ったように見えます。

3つ目は、断られた会社の扱いです。 「必要ない」と返ってきた会社には2種類あります。そもそも対象でない会社と、いまは優先度が低いだけの会社。この2つを同じ「NG」で閉じると、半年後に状況が変わっても誰も当て直しません。

3つとも、会社を増やしても直りません。リストを買い足して稼げるのは1周分の時間だけで、作り方が同じなら、次のリストも同じ速さで尽きる。

営業リストの作り方:5つの手順

作る順番は、後から変えるとやり直しが大きいものからです。

順 やること 次へ進む条件
1 載せる条件と、外す条件を決める 外形情報だけでYes/Noが付く。外す条件が2つ以上ある
2 当てる理由を列にする 条件に合う会社のうち、いま連絡する根拠が書ける会社が分かる
3 小さく当てて、反応を記録する 条件ごとに反応の差が見える件数まで当てた
4 結果を3つに分けて残す すべての接触が「対象外/今ではない/反応あり」のどれかに入っている
5 当て直す時期ときっかけを決める 「今ではない」の会社に、次に当てる日かきっかけが付いている

手順1で難しいのは、外す条件のほうです。 良い顧客の特徴は書けても、外す条件が書けないうちは、まだ売る相手が分かっていません。外す条件は「外形で外すもの」と「話してみて外すもの」に分けて書くと、リストを作る段階で判定が止まらなくなります。

手順2は、リストが尽きるかどうかを分ける工程です。 条件に合う会社を全部載せるのではなく、当てる理由がある会社から当てます。理由がない会社は消さずに残しておき、理由が生まれた時点で上に上げる。こうするとリストは「消化するもの」から「毎週入れ替わるもの」になります。

手順3では、最初から全件に当てないでください。 条件ごとに少しずつ当て、どの条件で反応が返るかを先に見ます。反応が返らない条件は、文面より先に条件を疑う。

手順4と5で、2周目のリストが立ちます。 「今ではない」に入った会社と、その理由(時期・予算・担当者の不在など)が残っていれば、次に当てる日を決められます。1周目で断られた会社が、2周目の最初の候補になる。

見直す順番

すでに「尽きた」と感じている場合は、新しいリストを作る前に、手元の記録から見直します。

  1. 過去に当てた会社を「対象外」「今ではない」「反応あり」に分け直す
  2. 「今ではない」の会社のうち、その後に当てる理由が生まれた会社を探す
  3. 反応が返った会社に共通する条件を探し、載せる条件を狭めるか、隣の条件へ広げる
  4. それでも足りないときに、はじめて会社を足す

順番を逆にすると、記録が残らない作り方のまま会社だけが増えます。


リストが尽きるという悩みは、売上の入口、つまり商談の量を詰まらせます。人を採るかリストを買えば量は一時的に戻りますが、載せる条件・当てる理由・接触結果の3つが決まっていないままでは、同じ速さでまた尽きる。ツールや外部の手を入れるだけでは戻らないのは、そのためです。

GTMエンジニアリングとは、営業戦略を起点に、売上を生み出し続けるGTM(Go-to-Market)の仕組みを設計・実装・定着させることです。リストの話に置き換えると、判定条件を決めるだけで終わらず、当てる理由を拾い、結果を記録し、当て直す日が自動で上がってくる運用を現場に組み込み、担当者が入れ替わっても回る状態までつくることを指します。載せる条件と外す条件の決め方は、GTM戦略の決める順番で詳しく書いています。

リストは、作ったら終わりの名簿ではなく、当てた結果で毎週書き換わる表。そう持っておけば、2周目の候補は1周目の記録の中から見つかります。

本記事の見解はWeaveXによるものであり、引用元各社の見解を代表するものではありません。

よくある質問

営業リストの作り方の基本は何ですか?
最初に、会う前の外形情報だけで載せるかどうかを判定できる条件を決めます。次に、その会社にいま当てる理由(採用募集や新しい発表など)を列として持ち、当てたあとの結果を残す欄を作ります。社数を集めるのはそのあとです。
新規開拓のリストが尽きたときはどうすればいいですか?
まず、過去に当てた会社の結果を「対象外」「今ではない」「反応あり」に分け直します。「今ではない」の会社は、当てる理由が新しく生まれた時点で当て直せます。それでも足りないときに、載せる条件そのものを見直します。
営業リストはスプレッドシートで管理してもいいですか?
問題ありません。立ち上げ期は列を足し引きしやすいスプレッドシートのほうが扱いやすい場面もあります。大事なのは道具より、判定条件・当てる理由・接触結果の3つの列があることです。

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